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ソルブ通信 コラム (抜粋版)

ソルブの無料メールマガジン「ソルブ通信」に連載の立地コラムから、反響が大きかったものを抜粋(一部再編集)してご紹介いたします。


【結局、物件というものは、どこかの撤退物件】

「結局、物件というものは、どこかの撤退物件ですよね。それは、“立地が悪い”ということですよね。」

このように、私に言い放った経営者がいらした。
言っていることは、ある意味で正しいでしょう。
新築物件でもなければ、「物件」とは、どこかの撤退跡地に違いないからです。

また、あるチェーン企業の店舗開発マンが
先輩から後輩へ代々伝えている言葉のひとつにこんなのがあります。

「われわれの仕事は、店をオープンさせることじゃない。店をクローズさせることだ」

一回聞いただけでは分かりにくいかもしれません。
これはこういう意味です。

そのチェーンは、紹介された物件をいつも店舗にしているわけではありません。
多くの場合、紹介されていない物件を店舗に変えているのです。
それは、そのチェーンにとって、良い立地というものが予めわかっているからです。

しかし、ほとんどの場合、そこには、すでに別の店があるものです。
それが個人の生業店であったり、別のチェーン企業であったり、
同業店であったり、さまざまではありますが、必ず「既存店」があります。

だから、その「既存店」が、撤退してくれない限り、自店舗を出すことはできません。
だから、「店をクローズさせることだ」になるのです。

業種業態によって「良い立地はさまざま」なのです。
しかし、そこに、すでに店があるなら、説得して撤退してもらわなければいけません。
店のオーナーを説得して、早めに出て行ってもらう。

冒頭の撤退物件、もし、自分の業種業態にあっている立地なら、それこそタナボタです。
そのことを知らなければ、冒頭の経営者のようなツブヤキで終わってしまいます。

果たして、あなたは、どちらでしょうか。


【「派手だから見える」は間違い】

人間の視覚の特性は、現代のようなスピード化社会であっても、太古の昔と変わりません。
目は何のためにあるのでしょうか。
視覚を考えるときの視点です。

第一に、危険を察知するために目はあります。
とりわけ地上生活を始めた人類にとって最大の危険は、肉食動物に襲われることです。
犬や猫、ほかの多くの動物は、この目的のために、嗅覚を発達させてきました。
ところが、なぜか人間は、この嗅覚が著しく衰えています。
聴覚も自慢できるほどではありません。
人間は、情報収集の95パーセント以上を、視力、つまり「目」に頼っているのです。

では、人間は、目をどのように使って危険を察知するのでしょうか。
それは、対象物の変化を読み取る能力です。
まず、色の違いで見つけるのです。
まわりが、緑色や灰色であるときには、赤色やオレンジ色が目に入ります。
同様に、形(フォルム)でも見分けます。
大きさの違いでも見分けます。
また、動きの違いを見分けることにも優れています。

しかし、このことがかえって、ものを見えにくくすることがあるのです。
いわゆるカメレオン効果といわれるものです。
対象物が背景と似たようなデザインであると、まったく区別がつかないことも出てきます。

看板や店舗のデザインも、同じです。

まわりに赤色やオレンジ色の派手な看板ばかりの中で、同じように派手な看板を出したところで、
「見える」というものではありません。

シンプルで、やや変化があり、明らかに異物を感じさせるような看板なら、見えるのです。
しかし、これが、なかなかわかってもらえません。


【人は、住んでいる場所によって他の人と似たような行動をする】

これは、私が大切にしている立地上の重要な仮説です。

人は、それぞれ自由意思をもって、自由気ままに行動していると考えがちですが、
本当のところはそうではありません。
もちろん、何から何まで他の人に似ているということではありません。
しかし、どこに住んでいるかによって、きわめて似たような行動をとるのです。

例えば、東京の西部地域、八王子や立川、世田谷に住んでいる人達の行動は、
JR中央線や京王線、小田急線などを使って、新宿・渋谷方向に行動する傾向にあります。
朝方、東向きの通勤電車が混むのはこの証しです。

同様に、千葉に住む人は西向きに、埼玉の川越や大宮などに住む人はほぼ南向きに、
横浜や川崎に住む人は、ほぼ北向きに行動します。

こうした広い範囲の動きばかりではありません。
駅があれば、周辺の人は駅の方向に行動することが多いものです。
スーパーマーケットがあればスーパーマーケットの方に、公園があれば公園がある方向に。

もっとミクロの視野で言えば、マンションの住人は必ずそのマンションの共同玄関を通ります。
民家だって、その家の玄関を通ります。

そんなこと当たり前のことだと言って済ませてしまえばそれっきりです。
しかし、「人は与えられた環境が同じであれば同じような行動をとる。
とらざるを得ない。」ということに着目すると、次のことも言えてくるのです。

「同じ地域に住む人達は、誰もが同じように店の場所や名前を知る。それは行動が似ているから」と。

したがって、地域別にそこに住む人達の行動特性を知ることができれば、
ある特定のチェーン店の地域への認知浸透度がどれほどあるか、
さらに同じような浸透度になるために効率的な出店配置をしているかどうかもわかるのです。

私が考案して、すでに幾つかのチェーンで採用し実用化している「ブランデリア出店戦略」は
まさしくこの原理を使っています。

効率的な地域ブランドを確立しながら店舗を展開していく。
これに優る出店戦略はありません。

単にポイント(点)を押さえていくだけで出店していけた良き時代は終わりました。
地域(ブランデリア、面)で過剰出店にならぬよう、
さりとて過少出店に甘んずることなく、効率的に配置していかなければなりません。

立地というのは、その良否判定や売上予測までで終わらせるのではなく、
人々の行動類型をも対象にした理論に基づいてこそ、生きてくるというものなのです。
ひとつでも多くのチェーン企業に、こうしたことに気づいてもらいたいものです。


【ブランデリア出店戦略】

ブランデリア出店戦略に反響がありましたので、何回かに分けて、もう少しお話したいと思います。

まず、前回のおさらいです。

通勤・通学や買い物、用事を済ませるなどの人々の行動は、
同じ地域に住んでいると、似たようなものになります。
この地域別に起きる住民の類似行動の方向、これを“行動ベクトル”と呼んでいます。

ただ、誤解してほしくないのは、
決して、となり同士の住民が同じような行動をすると言っているわけではないということです。
地域を広く見た場合、共通する行動の方向性があるという意味です。

例えば、八王子、立川に住む人達は、東に向かって行く方向性があります。
千葉、西船橋に住む人達は、その反対に西に向かって行きます。
川越やさいたまなら、南東に向き、横浜、川崎なら、北東です。
これらは、経験上、誰もが納得できることだと思います。

そうして、この行動ベクトルを想定することによって、大事なことがわかるのです。

「異なる行動ベクトルをもった人々は、異なる体験をする」ことです。

さらに、このことは、
「異なる行動ベクトルをもった人々同士では、認識の違いが生じる」ことも意味しています。

上の例で言えば、
八王子、立川に住んでいる人達の特定のチェーン企業についての認識は、
千葉、西船橋に住んでいる人とは異なります。

単に、地域が異なる(離れている)以上に、その異なり方は大きいのです。

それに対し、同じ行動ベクトル(行動する方向)を持っている地域の人々は、
少しくらい離れていても、非常に似たような認識を示すのです。
正確には、同じ方向ではなく、同じ方向の行動ベクトルが連続しているような場合です。

実際、Aチェーンで調査したところ、
同じ方向の行動ベクトルが連続している地域で
15〜18km離れた店の認知率が1.0%から1.9%であったのに対し、
ほとんど同じ距離にあっても、行動ベクトルが連続していない店の認知率は0.1%〜0.4%
という結果が出ています。
 
一方、チェーン店として、その店がオープンする前に、そのチェーンを既に知っていたという人は、
知らなかった人に比べて、来店頻度も、客単価も倍近く高いという調査結果も出ています。
 
これらのことから、出店には、
人々の住んでいる地域の行動ベクトルを踏まえて行うとできる効率の良い方法と、
そうでない方法があるということがあるということがわかります。

つまり、行動ベクトルによって効率的な出店戦略を作ることができるということです。


【より効率的な出店戦略に必要な要素とは】

前回のコラムでは、
行動ベクトルによって効率的な出店戦略を作ることができる
というところで、話は終わっていました。
今回はこの続きです。

行動ベクトルは、それぞれの地域の人々にある共通した行動方向だという話しをしました。
では、その行動ベクトルはどうやって知ることができるでしょうか?
一番簡単な方法をご紹介します。

それは、大都市の中心部に向かって矢印を書くことです。

こう言うと、「中心部って、どこ?」という質問が出そうですが、
そういう細かいことは気にせず読み進めてください。

例えば、八王子市あたりなら、東京都23区内に向かって矢印を描きます。
すると東向きの矢印ができますね。
千葉市あたりでもそうです。
東京都23区内に向かって矢印を描くと、今度は、その逆向き、西向きの矢印になります。
それが、おおざっぱな行動ベクトルの作り方です。
広域で見る限り、そんなに外れることはありません。

もうひとつ、狭い範囲での行動ベクトルも、簡単に作れます。
それは、駅または、大きな商業施設に向かって、矢印を描くことです。
これは、だいたい5km圏内で考えてください。

「大きな商業施設が複数あったらどうする?」
そういう場合は、数本描いても構いません。

もっと正確な行動ベクトルを知るにはどうしたらよいでしょうか。
コンピュータを使って、全国くまなく計算し、作ることができます。
具体的な計算方法については、企業秘密なのでご紹介できませんが、
弊社の「統計てきめん」をお持ちなら、行動ベクトルを見ることができます。

さて、この出来上がった行動ベクトルを、どうやって出店戦略に使用するか。

この説明をするためには、その前に「知覚基本式」と「知覚率」についてお話ししなければなりません。

この二つの概念は、出店戦略をシミュレーションしていく上で避けて通れないものですので、
あまり難しくならないように、触れておきます。

まず、知覚基本式。
これは、

(1)「行動ベクトルの方向と、お店がある地点へ向けた方向、
その二つの方向によって、人々のお店に対する知覚の仕方が異なる」

ということと

(2)「お店が近いときと離れているときでは知覚の仕方が異なる」

という2つのことを、数式で表したものです。

たとえば、行動ベクトルの方向と、お店がある方向が同じなら、知覚しやすいですね。
ところが、もし、この方向が違っていたら、知覚しにくい。
また、遠くにあるお店より、近くにあるお店のほうが、知覚しやすいですね。
要するに、人は、自分の向かう方向と、お店のある方向、そして、距離、この3つの関係によって、
お店に対する知覚の度合いが違っているということです。

もちろん、知覚の度合いが大きいほど、そのお店は、よく知られ、よく利用されます。
ここがポイントです。

そして、もうひとつポイントがあります。

それは、人は、少しぐらい知覚したところで、その存在を認識したり記憶したりしない、ということです。
お店を何度も何度も見るとか、あそこでもここでも見るとか、ある一定以上の知覚をしなければ、
そういうお店があるということを認識しないのです。

つまり、ここから
「認識が始まる、ある一定の知覚の度合い」というものを仮定することができます
(この度合のことを「知覚閾(チカクイキ)」と呼びます)。

この知覚閾以上の知覚がされていて、初めてそのお店があると認識されるのです。


【ブランデリア出店戦略はどうやって作るか】

前回は、行動ベクトルの作り方、知覚基本式、そして知覚閾(チカクイキ)まで話しましたね。
ちょっと難しかったでしょうか? もう少しお付き合いください。

今回は、いよいよその核心、ブランデリア、知覚率、そして、出店配置効率の話です。

チェーン店というのは簡単に言うと、原則として、
同じ看板と同じビジネスフォーマットで出店していくものですね。

つまり、人々は、
「あちこち」にある“同じ名前の看板と同じような商売の仕方”を見て、
そのチェーン店についての認識をする。

重要な点は、この「あちこち」です。

どうして、人々は、「あちこち」にあることを知るのでしょう。
それは、「あちこち」で「見る」からでもありますが、「あちこち」にあることを、
自分以外の人(他人)から「聞く」からでもあります。

ところで、その店のことを知らない人、見たことはない人と、
その店のことについて話をして、盛り上がることができるでしょうか?

できませんね。
見たことがある、聞いたことがある必要があります。
ですから、自分が複数の店を見るにせよ、他人から聞くにせよ、
いずれも、その場合の「あちこち」は、自分が生活しているところに近く、
行動ベクトルが似ていることが不可欠の条件です。

そこで、知覚閾の出番です。
仮に自分がそのチェーンを知らなかったとしても、他人からその名前を聞いて、
「ああ、そう言えば、そういう名前の店があったな」と、思い出すことがありますね。
つまり、1つの店では、認識できなかったものが、複数の店を見たり、聞いたりすることで、
チェーン店としての認識が起きる。これが、知覚閾を越えた「知覚」です。

つまり、チェーン店は、複数の店を出店することによって、こうした「知覚」を生じさせる。
だからこそ、チェーン店は、単独の店よりも、多くのお客が訪れ、
高い売上げが獲得できると考えられるのです。


さて、ちょっと話しは変わりますが、
人々の住んでいる場所の近さ、そして、行動ベクトルの類似性から、
全国の地域を区分することができます。
これも、コンピュータで分類します。
クラスター分析という手法を使います。
この区分された地域を“チェーンブランドを構築するエリア”という意味で
「ブランデリア(Brandarea)」と呼びます。
区分する方法にもよりますが、全国でおよそ300作ることができます。

このブランデリアごとに、知覚がどれくらい起きているかを%で表します。
それが、チェーンの知覚率です。
知覚率100%とは、そのブランデリア内のすべての人が
そのチェーンのことを知っていることを意味します。
この知覚率は、当然ながら、それぞれのチェーンによって異なります。

それは、第一に、それぞれのチェーンによって、そのブランデリア内の出店配置が異なるからです。

第二に、店の数が多いチェーンほど、一般的には、知覚率が高くなる傾向にあります。

第三に、ブランデリアの違いによって、知覚率が高くなりやすかったり、
なりにくかったりします(これを「ブランデリア特性」と呼んでいます。

つまり、知覚率は、出店配置、店数、ブランデリア特性の3つで決まってくると考えられるのです。

ここで、出店配置がどうであるかはひとまず置くとして、店数とブランデリア特性の2つから、
基準となる知覚率を算出する公式を作ることができます。
もちろん、この公式を作るためには、
たくさんのチェーン企業の出店配置に関するデータを集めなければなりません。
ですが、一度集めることができれば、後は計算するだけです。

この公式で求めた、基準となる知覚率と、そのチェーン店の知覚率を比較することによって、
「出店配置効率」というものを計算できます。これは、偏差値で出すことが出来ます。

例えば、あるブランデリアで、7店舗出店しているチェーン企業があったとしましょう。
そのブランデリアの7店舗での「基準となる知覚率」が50%だったとします。
ところが、もし、このチェーン企業の知覚率が45%しかなかったなら、
それは出店配置効率が低い(悪い)ということになります。
反対に、55%あれば、出店配置効率が高い(良い)ことになります。

おわかりでしょうか。
これを利用すると、「出店配置効率を高めるには、
どこに店が配置されている必要があるか」がわかるのです。
また、「次にどこに出店すべきか」もわかり、さらに、
「どのブランデリアでは良い出店配置をしていて、
どのブランデリアの出店配置を改善しなければならないか、
どう改善すべきか」もわかります。

そして、さらに、「このブランデリアには20店舗出店したいと思っているが、
どこに、どういう順番で出店していけば、もっとも出店配置効率の高いか」
ということも自動的に計算することができます。
つまり出店戦略を作り上げることができるのです。

こうして作り上げた出店戦略を、ブランデリア出店戦略と呼んでいます。

すでに、このブランデリア出店戦略によって、いくつものチェーン企業の行く末が予見され、
その予見が現実のものとなったことが証明されています。

そして、そう少なくないチェーン企業がこのブランデリア出店戦略を採用し、出店を確実にしています。
単に、個々の物件の「売上予測」だけ出来れば良いという気楽な時代は過ぎ去ろうとしています。
それだけでは、すでに限界に来ています。

他のチェーン企業、とりわけライバル企業に負けないためにも、大局からの戦略が不可欠なのです。


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